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Table2. The contrast of mitigation

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4. 環境の捉え方
4−1. ベクトル評価の考え方
(1)環境ベクトルの定義
自然海域の環境を考えた場合、物理的・生物科学的環境項目には一定のベクトルがあると想定できる。すなわち、「自然海域は、それぞれ固有のバージンな自然的、社会的な特質を有している。ここに開発行為がなされると、その影響のベクトルにより様々な環境上のマイナスの影響がもたらされる。この影響の方向を「環境上のベクトル」と定義づける。
(2)ベクトルの評価方法
ベクトルの評価方法は、様々な単位・尺度で測定されている評価因子を、統一的な尺度の数値で変換することによって評価を行う方法であり、その評価に先立って、予め設定されている評価基準を基に、評価の対象となる港湾の類型を行う。なお、評価は二段階で行う。第一段階の全国的な評価において、全国平均よりも汚染が進んでいるとされた海域については背後圏の都市部から流下する河川等の浄化をも含めた改善策を必要としている事が示唆されており、全国平均以下の海域については、開発と合わせた環境改善策で対応可能な事が示唆されている(Fig4.参照)。
(3)ベクトルの構成
定量的ベクトルの分析方法は、次に上げる2点を考えツリー型の評価構造とする。この場合、
?ベクトルは評価構造が明確なこと。
?ベクトルは定量的に表示されること。
ここで、評価項目の最も基礎となるものを評価因子と言うこととすると、評価因子は様々な単位、尺度で測定されているため、統一的尺度としてここでは原則的に基準化された点数で評価を与え、数量的に表示する方法をとる。評価因子には、港湾空間に関する各種データが対応する形をとっている。ここでいう測定データとは、現況分析を行い、閉鎖度、水深、波浪、潮汐などのデータを収集し、整理した値である。
また、総合化の方法としては、主に、個々の評価値のウェイトを設定し、それを積み上げていく方法による。ウェイトは、実際には有識者の意見に基づく方法などが考えられるが、既存の文献を参考にして定性的に定めるなどの便法もある。いずれにしても、評点とウェイトは多くの人々の合意を得るため、できるだけ客観値を目指すことが必要となる。
4−2. ベクトル評価モデル(第一段階)
各利用形態ごとの利用適性条件を基礎として、ポテンシャル評価構造を決定し、ポテンシャル評価式を決定する。なお、評価式は以下の条件に従って設定する。
(1)物理的環境評価項目

物理的環境評価項目は一例として、Fig.2に示すような項目が考えられる。

Fig.2.Evaluation image with physical environment

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(2)生物・化学的環境評価項目
生物・化学的環境評価項目は一例として、Fig3に示すような項目が考えられる。

Fig.3.The evaluation image with environment item

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(3)社会環境評価項目

社会環境評価項目は一例として、図4-2-3に示すような項目が考えられる。

Fig.4.Evaluation image with social environment item

 

 

 

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